七味をかける

日がなごろごろ

歯は砕ける


私はよく転ぶ子供だった。


正確には今でも転ぶしものは落とすしものにぶつかる。



よく転ぶという事実を裏付けるエピソード、証言はたくさんあるが、中でもやはり小5の頃家の前で転んで前歯を折った記憶が一番強烈である。



その日私はタイトスカート(っぽいもの)を履いていた。


小学生の頃はジーンズばかり履いていたので慣れていなかったのだろう、少し急がなきゃ、と走ろうとした瞬間である。
スカートはあまり開くものではない。
手はランドセルにかけられていた。



結果私は転び、顔面からアスファルトに突っ込んだ。


右の前歯が飛散した。



その頃既に私は自分のドジに慣れていて、よく転ぶこともわかっていたし彫刻刀を指に盛大に刺してしまったこともあったので、痛みに対して冷静だった。
そして何故か「学校に行かなきゃ」と思った。
冷静じゃなかったのかもしれない。


そして、私の家から5分ぐらいのところに仲の良かった友達が住んでいて毎日一緒に学校に通っていたので、そのまま彼女の家に行った。
どうでもいいが同じ名前だったので名字で呼び合っていた。元気にしてるだろうか。


今考えるとよく分からないが「折れちゃったからとりあえずティッシュで抑えていこう」という結論に二人でなり、学校にそのまま向かった。



当然校門で止められる。
慌てる先生。よく分からない私。



その日生まれて初めて救急車に乗った。



結局前歯が完全に折れていた(根元はあるが、下半分がない状態)だったので、神経を抜きセラミックかなんかで下半分を復元したらしい。
麻酔をかけられたので寝こけていたので手術のことはあまり記憶には残っていない。


下半分の前歯だが、アスファルトによって完全に砕かれていたらしく、先生方の必死の捜索もむなしく見つからなかったそうだ。

ていうか探しに行ったの、ウケるな。



私の右の前歯は今でも神経が無い。
特に不都合は生じていないが、茶渋が最近きになるのでそろそろまた歯科に行かなきゃなあと思っている。




救急車に乗ったのは今の所この一回のみである。