たとえる
『たとえる技術』というせきしろさんの本を読んだ。
比喩についての作例と、その思考法を書いた本。
端的に言えばそれだけ。
ですが、読んでいると自分も例えを考えたくなってくるので200頁くらいの本の割に読むのに時間がかかる…
というようなことを解説(取説?)の高橋源一郎も書いていた。
極論大抵の創作物は比喩で出来ているように思う。
電車が走っている。これでは事象だけだ。
夜を切り裂くように電車が走っている。
他人事のように電車が走っている。
赤子のゆりかごのように電車が走っている。
鍋でじゃがいもが茹でられているように電車が走っている。
では、これを小説にしたら?コントにしたら?絵にしたら?あるいは、話のネタにでも…ひとりで連想ゲームするのは、旅に出ているようで楽しい。
◼️読んでる途中に読んだ川柳など
ジェンガだと本を重ねて嘯いた
結局は愛を信じて押し切った
とっととその焼きそばパンよこせよ
お魚の天国たぶんここじゃない
ふとんからうさぎ飛びでる追いかける?
室内に洗濯物が実っている
中身には見合わぬサイズの箱が来た
あんぱんは確かお前が好きだったよな
頁には他人の残した犬の耳
瞬きの合間に君を盗むから
下げられた皿には神が取り残され
素知らぬ顔して優等生のふり
鏡には見知らぬ顔の私がいる
喧騒でヒットチャートが恋してる
僕からは引っ越し祝いに投げキッス
一番間抜けな死に方考える
ユニクロの服くらいよく見る顔だ
目の中に入った丸太そのままで
割れた音がしゃべる昔話たち
さんざめく服たち、春に連れ出して