七味をかける

日がなごろごろ

「暮らしの中にある宇宙」について


コミティア137で頒布予定の「暮らしの中にある宇宙」について、感想のようなものを書いています(著者名50音順です)。
どういう本なのか?というのは主催のあひるひつじさんが試し読みサンプルをあげておりますので是非見てみてください〜!

COMITIA137『暮らしの中にある宇宙』紹介記事|あひる|note



感想はこの下からになります。
なるべくネタバレにならないようにはしていますが、少しだけお話の紹介もしています。
めちゃくちゃ烏滸がましいですが、購入を迷われている方などの参考になればと思います〜〜!


◼️あきつかおるさん
星屑
星々について、人について。
冒頭で概念についてかな、と思ったら世界観がものすごく爆発しているお話です。
すごいものを読んだ。
人は音楽にいろんな気持ちを託しますが、祈りもまたその一つなのだろうと思いました。


◼️あひるひつじさん
パンクス・ネバー・ダイ
後輩のライブに行く話。
輝いているものを見たときに嘘くささと同時に羨望のようなものを覚えるので、この文章を読んだ時にダメージを受けました。
もちうめさんの「一日」といい意味で真逆な印象があります。

エスタデイ・ワンス・モア
フラッシュバックのような文章。
読んだときに夢十夜を思い出しました。
ぐるぐると歩き回っているような、どこにいるかわからない感覚。
この本を読み終わった後に、もう一度読みたくなるお話です。

ヒア・カムズ・サン
友人とのドライブの話。
心情や情景と音楽がぴったりと当てはまった瞬間のことってずっと覚えていると思います。
最初にこれが「サンプルです」と送られてきたので、「めちゃくちゃハードルあげるじゃん」と思った記憶があります。


◼️粟屋やわ子さん
LUNARIA

負の感情についてと、そこからの救いになった音楽のことが静かに書かれています。
題材が重いはずなのですが、情景はするりと水のように入ってきて、どこかきらきらしています。
最後のゆるいイラストがどうもクセになるので、何度も見てしまう……。


◼️えびせんさん
音楽の話。

子供の頃から今にかけて、音楽にどうやって触れていっていたのかが、追体験するように書かれています。
大きく変わらずとも少し踏み出せるような、眼差しがやさしくてやわらかな印象があります。
なんとなく、放課後の教室を思い出す文章です。


◼️小林透さん
悩んで歌って子供みたいに

河川敷で出会った女の子のお話。
モラトリアムといいますか、なんというかませた子供や、キザな台詞を見たときに感じるむず痒さがありました。
分かってはいても、そういうものを好かずにいられないのってなんだか癪ですよね。


◼️近藤永理さん
音楽との出会い方を再考する。

たくさんの音楽とその出会いについてが書かれている文章です。
拾いどころが多すぎてちょっと困ってしまうのですが、たくさんお話を聞いているような、そして自分も好きなものを喋りたくなるような気持ちになります。

こえとすいそう
好きだった人に会いに行く話。
普段楽しげな人が、時折寂しさみたいなものを見せることがあります。
それに対して好きとも違いますが、好ましいというふうに感じることがあって、その言語化しにくい感情を思い出す文章でした。


◼️スヤリ
聖歌312番
女子校時代の話です。

君と私のソネット
恋人の話です。

ななちゃん
好きな女の子の話です。

青春の日々
友人の話です。


◼️dyism!さん
街中華にて

中華料理屋とパンクについて。
読むとなんだか気持ちのいいアクション映画を見た後みたいな気持ちになります。
ワードセンスとご飯が美味しそうなところが好き。
それはともかく、冒頭の写真から受ける楚々とした印象とパンクの話との差がすごいな。


◼️tdさん
『V散華のちR邂逅』

ヴァーチャルとリアルの話。
読んでいて、「予感」や「変化」みたいなことを考えさせられました。
今回の本の中でも、特に映像を自然と想像してしまう文章で、静謐な空間に凛とした音が聞こえてくるような感じがします。


◼️テクナンさん
特別でない嗜好

音楽を好きになったきっかけと、その後の偶然についてが書かれています。
「他人との感動の共有」に対する気持ちにストンと納得し、共感する文章でした。
秘密のトワレ、ものすごく好きになってしまい、ヘビロテして聞いています。


◼️ぽんかんさん
あせばむふゆ

鳥取の工業高校でのお話。
「もしかしたら友達になれたかもしれない人」って過去を振り返ってみるといて、読みながら自分の経験を重ねたりしました。
地の文の「僕」と会話文での「俺」に対比を感じて、そこがすごく好きだなと思います。


◼️もちうめさん
一日

日常のそばにある音楽が電車やライブ、おしゃべりといった情景とともに書かれており、わくわくが伝わってきて思わずニコニコしてしまいます。
自分が卑屈な人間になったと思っているので、眩しいくらいかわいい文章にやられてしまいました……。


表紙を今回かかせてもらった関係で、実は文章を先に読ませてもらっていました……!(なるべく要素を拾って書いた表紙なので、そちらも詳しく見てくれたら嬉しいです)
題字はえびせんさん!とってもかわいい…

全体を通して、本当にそれぞれの物事の見方を感じる短編集だと思います。
音楽や絵を作っている人たちが文章という違うツールに落とし込んでいるのに、むしろ文章を読んだからこそ普段の作品との答え合わせがされたような楽しさがありました。


また、しおりの絵は、文章を書いた人とは違う人がそれぞれのお話をテーマとして描いたものになっています。
これもお話が、他の人の見方で再構成されているようで面白かったです。

ともかく、購入して頂けたらとっても嬉しいなって思います。ぜひ読んでみてください!


おわり